タハーン〜ロバと少年(TAHAAN a boy with grenade)

第10回NHKアジア・フィルムの映画「タハーン〜ロバと少年」を鑑賞しました。

ストーリーは、祖父、母、姉と共にカシミール地方に暮らしている8歳の少年タハーン。一番の友達はロバのビールバル。3年前に行方がわからなくなった大好きな父に会いたいと思っている。貧しくとも平穏な暮らしが続いていたが、遠くに銃声が聞こえるなど、軍と武装勢力の抗争もまた身近にあった。ある日優しい祖父が突然亡くなり、ビールバルは借金返済のために旅商人に売られてしまう。ビールバルを取り戻すために商人を追って山越えするタハーン。やがて1人の男がタハーンに近づいてくる。
The 10th NHK ASIAN FILM FESTIVAL 第10回 NHK アジア・フィルム・フェスティバルより
初めに「フィクションだが、背景は事実である」というメッセージが流れます。
近づいてきた男があるものを渡すとタハーンの表情はガラリと変わり、緊張感が高まっていきます。
タハーンならずとも、貧困と戦争の狭間で止むをえない選択と自分に言い聞かせ、あるいは何かを信じてそれを放ってしまう恐怖を感じました。
旅商人ダールの甥っ子もタハーンと同じ年ごろの少年なのですが、自分の両親も殺された経緯を持ち、大事なものを失う気持ちを思いやり、キャンドルに囲まれた紙粘土の人形を前に伯父さんに語る言葉は穏やかに私たちの心を照らします。
涙を流すような映画ではないかもしれませんが、武装集団の影もちらつく戦争を背景に前向きな希望を与える映画だと思いました。
それにしてもロバってかわいい!哀愁ある眼差しと、あのよく動く耳と、ちょっと聞かん坊なところが。走ってる姿も一生懸命な様子が伝わってグイっと心をわしづかみにされました。欧州でロバの絵が多くみられるけれど、私も描きたくなります(絵心ないですが…)。