お茶室訪問と大徳寺拝観

前日の雨が嘘のように晴れ渡る京都市内。


烏丸御池のホテルよりタクシーで400年の歴史を持つ茶室へ向かう。畳に座卓が並ぶ会場で開講式を行った後、いよいよ目の前の茶室へ。苔むした武者の兜に似た門をくぐり、柔らかな青葉が映える打ち水された石畳を渡る。住民用、一般用、貴人用と3つに分かれた玄関を通り、ある茶室でお呈茶していただいた。5月の京都は祭り月と言われているぐらい葵祭りに祇園祭りと祭りが続く。それに併せてお茶席のお道具も祭りに関したもので取り合せとのこと。いくつもある、そのうちのいくつかのお茶室を案内に従って拝見。利休道歌や点前作法等がしたためられた反故襖を拝見したり、狩野探幽による襖絵を拝見したり、貴重な美術品を身近で見られたこともさながら、悠久の歴史を刻む薫風そよぐこの空間に座り、鳥のさえずりを耳にできるこのひと時。なんて貴重で贅沢なこと!


大変丁寧な説明をいただき、かなりじっくりと拝見できたお茶室での時間も直ぐに過ぎ去る。開講式をした会場にてお弁当を頂いたのち、大徳寺へタクシーで移動。楼上に利休の木像が置かれたため、門の下を通る豊臣秀吉の怒りにふれ、これが利休さんが切腹させられる原因となった三門である金毛閣へ。そして、草履(ぞうり)から草鞋(わらじ)に履き替え、この急な木造の階段を着物姿で登る!上部で2箇所ほど梁が渡っているためかなり屈まないと通れない。それにこちらは二重太鼓の帯がある...。先生よりこの階段の話は伺っていたので、エイヤと腹をくくり、着物の裾を帯までたくし上げ、襦袢姿で一段一段ゆっくりと上がることにした。そして、上層部に上がると、その天井に長谷川等伯による龍図が目を見開きこちらを迎える。手摺のあちらは京都一帯を見下ろすような雄大な景色。雨上がりの翌日、空気が澄んだ晴れ間とあって、左手には大文字山、正面には京都タワーがくっきりと浮かび上がる。そして、下を見渡すと広く渡る大徳寺の伽藍。1589年に建てられたというが、二層構造といえこの高さは山上のよう。資金援助をしたという利休さんの資金力もどこから出てきたのだろう?木造の利休さん像に手を合わせ合掌。その後、冷や汗かきつつ、階段を降り、聚光院(じゅこういん)へ向かう。説明を伺いながら、方丈庭園、狩野松栄・永徳父子による襖絵をじっくり拝見し、利休さんが切腹した場所といわれる閑隠席(かんいんせき)等も案内していただく。お寺の方の意見、研究者の方の意見それぞれについても説明してくださり、そのような話も興味深かった。そして日が少し西に傾くころ、最後に茶の湯の歴史を形作ってきた茶人たちに手を合わせ、墓参りをさせていただいた。


この日に拝観したお茶室も大徳寺の金毛閣、聚光院もすべて一般公開されていない。大変貴重な体験ができた研修だった。




[kyoto]