茶 Tea 喫茶のたのしみ@出光美術館

茶道のお道具を拝見する機会はたびたびあっても、煎茶具はありませんでした。今回の出光美術館の展示会は茶道と煎茶、あるいはポットの原型である中国の水注(すいちゅう・水やお酒などを注ぐ道具)など様々な「喫茶」にかかわる道具、そしてその周辺の美術品を一覧できる良い機会でした。

  • I 愛用・愛玩の美学 煎茶・木米(もくべい)

青木木米(もくべい)作の煎茶道具は愛らしく、その急須は小じんまりとして片手に収まりそうで、絵柄や形も一つ一つ手作りしたぬくもりがありました。「白泥煙霞幽賞涼炉・炉座」は白く高い涼炉の中にこじんまりときれいな色のお人形が二体あるところなどもじっくり拝見。
お酒の席とは違い、喫茶の席とは「何もない時間を楽しむ」ものなの。そんなことを思い起こさせる「木米喫茶図(田能村竹田)」。

  • III 茶の室礼 12年ぶりの茶道具名品展

禾目(のぎめ)天目茶碗 が塗りの台座に載せられていました。不意に疑問が。天目茶碗を貴人様に出すのって「あり」なのでしょうか?それともやはり貴人様には白無垢のお椀と台座でしか出せないものなのでしょうか?先生に伺ってみなくては。
茶碗も他に大変貴重な「井戸茶碗 毛利井戸」などがありましたが、なぜか「上野沓茶碗 銘 普賢」が気に入りました。なぜかしら。ごつごつとしてそうな地肌の雰囲気とゆがんだ形にかな。
利休作の「茶杓 咄々斎(とつとつさい)」もありました。年月を経た茶杓はカラメル色で、節がかなり湾曲しており、細く小さなものでした。少し力を入れただけでもポキッと折れそうなあの茶杓桃山時代から平成の今日まで無事に残っていたことさえ奇跡的なこと。
水差しも色々な形や大きさがありました。中でも気に入ったのはコバルトブルーのさし色も美しく牡丹が華やかな「法花牡丹文水差」。

  • IV 喫茶の彩り

何といっても「螺鈿竹雀文籠地茶箱」!今回この茶箱を観て思ったのは私って妙に茶箱に愛着を持っているということ。お点前はまだまだだけど、小さな箱に一式準備してそれを野点てでお茶を点てるというその世界に惚れ惚れする。それも安土桃山時代にはすでに行われていたお点前だなんて!螺鈿の箱ももちろん素晴らしいです。

出光美術館は年間の会員になっているので、同じ展示に何度も通えるのがありがたい。この展示もまた観に行くつもり。

茶 Tea―喫茶のたのしみ―
お道具の鑑賞は、用の美から

茶を嗜(たしな)むには、まず型から入るのが鉄則といわれますが、本展では、流儀にこだわらず、道具そのものの特徴と面白味に注目して、用の美を探っていきます。通常、茶道具がメイン据えられることの多い茶の展覧会。今回は煎茶具も一緒に展示することで、両者の違いを実感していただく構成となっています。

出光興産(出光昭和シェル) | 出光興産株式会社
2010年4月3日(土)〜6月6日(日)
日本の美・発見III 茶 Tea ―喫茶のたのしみ―