伊藤若冲 アナザーワールド@千葉市美術館

金曜日と土曜日は20:00まで開館しているので、千葉市美術館まで若冲に会いに行ってきました。遠かった…。でも、ここまで来た甲斐は十二分にありました。展示数が多く、違う魅力も発見でき、改めて若冲LOVE
今回思ったのは若冲って自由な精神の持ち主だということ。そして、生き物に対する愛情が深い。
雛に双鶏図」のお父さん鶏が背中に雛を3匹背負っている絵が微笑ましい。いかめしく威嚇しているような雄鶏も描いている一方でこんな親子愛も描いている。
もちろん若冲らしい非常に正確、繊細な表現も堪能。「石灯篭図」等見ていると点描で灯篭の石の質感を描き、灯篭の角などは線を入れず、白抜きで表現している。そして灯篭に止まる鳥の足をみると、細い足先まで白抜きされていて、若冲の集中力というか、執拗さに驚かされる。
一方、ぐるり丸く太い線で表現される「鶴図」にはその奔放さに楽しくなる。
若冲が描いている時ってきっと筆の音も聴きごたえがあったのだろうなと思いました。勢いがあるシュッシュという音が静かな畳の上で走っていそう。
版画「花鳥版画」も良かったな。あれは発見。
80代に描いた「蔬菜図押絵貼屏風」のダイナミックさも好き。先日観た奥村土牛にしろ80代ですばらしい作品を残す力ってどういうことなのだろうと考えさせられた。続けてきたから、努力してきたからかな。
象と鯨図屏風」の展示期間は6月14日〜6月27日。ということでこれは見ることならず。たぶん、この短い期間では行けないと思うので今回はあきらめます。ずっと見たかった「樹花鳥獣図屏風」を観ることができたので、善しとします。

江戸絵画ってユーモアある絵も多くて楽しいわー。決して堅苦しいものばかりではないので、ぜひ機会を作って見てほしい。

伊藤若冲 アナザーワールド
6月27日(日)まで
千葉市美術館 Chiba City Museum of Art

若冲アナザーワールド水墨画の世界に浸る
伊藤若冲(1716-1800)のブームが継続中です。京都国立博物館での「没後200年 若冲展」展で、一般にも広くその名を知られる存在となり、その後も展覧会の開催、画集の刊行が続いています。もはや一過性のブームではなく日本絵画の大スターとしての地位を確立したようです。
動植綵絵》(宮内庁三の丸尚蔵館)のような華麗な着色の作品だけが若冲の世界ではありません。若冲は晩年にいたるまで多くの水墨の作品を残しました。もしかしたら水墨画のほうが若冲の個性であるかたちの面白さは際立つかもしれません。
本展覧会は、若冲の水墨の作品を中心に、関連する着色の作品をも含めて構成します。加えて、河村若芝・鶴亭らの黄檗絵画の作品によってその水墨表現の前史を示し、若冲水墨画の世界に迫ります。前期(5月22日〜6月6日)後期(6月8日〜6月27日)合わせて165点を展示する予定です。
首都圏での若冲の大規模な展覧会は昭和46年(1971)に開催された東京国立博物館での特別展観以来、約40年ぶりとなります。若冲アナザーワールド水墨画の世界をご堪能下さい。