須田悦弘展@ギャラリー小柳(銀座)


昨日はもう一つ展示会を観てきました。それはギャラリー小柳での須田悦弘展。須田悦弘さんの作品に触れたのは初めてです。
コンクリート打ちっぱなしの床に白い壁のギャラリー。木彫りの植物が壁や床などにひそやかに配置されていて、それを探して観ていきます。芍薬朝顔の柔らかな花弁や蓮華草のような小花なども木で彫られたとは思えない質感。ふとギャラリーを見まわしてみると、花々を探しだし、背伸びしたり、しゃがんで観ている人たち。その姿さえも現代アートの一部のよう。
見終えてしばらくの間、木彫りの花を思い起こしては考えてしまいました。
田舎が自然あふれるところで育ち、小さいころから自然に慣れ親しんだものとしては木彫りの植物に違和感があったからです。柔らかい質感を最大限に表現していても、本来の切れてしまいそうな危うさが感じられなかったし、コンクリートの建物の中で木彫りの花を観る、この行為って何なんだろう?と…。
よくよく考えて思ったことは、自然と切り離されて暮らしている中では、あのように花を探して鑑賞するという行為をあえて場所を作ること、その探して鑑賞するという行為を観る人に提供すること、そして、「木」という植物で、それも堅い素材で花々を彫りあげ、そのギャップを味わうこと。これがこの作品の味わいなんだと。少なくとも私にとっては…。
色々と考える愉しみを頂いた展示会でした。


須田悦弘
ギャラリー小柳Gallery Koyanagi
7月31日まで

ネオテニー・ジャパン──高橋コレクション

ネオテニー・ジャパン──高橋コレクション