「三菱が夢見た美術館 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション展」@三菱一号館美術館

先日、「三菱が夢見た美術館」の内覧会に参加してきました。
私の第一目的は「国宝 曜変天目*1(稲葉天目)」。静嘉堂所蔵のもの。世界に三椀しかないという曜変天目をまだ一つも目にしたことがなかったので、大変楽しみにしていました。ほの暗い展示室のガラスケースに曜変天目(稲葉天目)が置かれているのを見たとき、心が打ち震えました。内面の漆黒の地に青色のぽつぽつと丸い斑紋が夜空の星のよう。
お茶のお道具では他に素敵だなと思ったのが茶入れ二つ。付藻茄子(松永茄子)松本茄子(紹鴎茄子)。これらは大坂夏の陣で大きく損壊したものを塗師の藤重藤元(とうげん)・藤厳(とうごん)親子が回収し、漆繕いによって復元したものということです。なめらかな地肌とつややかさは逸品。
絵画で気に入った作品

  • 黒田清輝の「春の名残
  • 岸田劉生童女像「麗子花持てる
  • ルノアール長い髪をした若い娘(あるいは麦わら帽子の若い娘)
  • アルベール・マルケ「トリエル、晴れた日

2番目の麗子像は和服ではなく、赤いタータンチェックの洋服を着ているのが珍しい。
マルケの「トリエル、晴れた日」は見ていると気持ちがスーッと澄んでくるよう。

他にも歴史ある貴重な書籍(「解体新書」など)や地図、明治から大正時代の日本郵船麒麟麦酒のポスターなども展示されている。
落ち着いたわかりやすい音声ガイドなので、聴きながら鑑賞するのもお勧めです。

ちなみに、東京で雇い入れられた最大の動員、3つのうち一つは、この三菱を興した岩崎彌太郎の葬儀。雇い入れられた人員は7万人余りという。(他はグラント将軍の来遊と憲法発布)―新版 霊柩車の誕生 (朝日選書)による

「三菱が夢見た美術館 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション展」
三菱一号館美術館
11月3日(水・祝)まで
http://mimt.jp/yume/
なお、 「曜変天目(「稲葉天目」)」は9月5日(日)まで

今回声をかけてくださったTakさんのブログはこちらです。多謝!

*1:図録によると曜変とは黒釉のかかる喫茶茶碗(通称「天目」のうち、内面に、青色を中心とした虹色の輝き(光彩)を放つ斑紋が現れたものをいう、とあります