「田中一村 新たなる全貌」@千葉市美術館

明後日の日曜美術館で放映される前に行ってきました。千葉市美術館で展示中の「田中一村 新たなる全貌」。
田中一村との出会いは2006年の「日曜美術館30年展」東京藝術大学大学美術館の展示。そこで『サクラツツジオオタニワタリ』、『カジュマルにトラフズク』を観たときの衝撃が大きかったので、今回の展示は絶対に見ようと心に決めていました。
彼もとても興味を持ったので金曜日は20時まで開館しているのを狙い、千葉駅で待ち合わせ。
田中一村は栃木で生まれ、千葉市に20年住み、奄美大島へ渡り亜熱帯の動植物を題材にした日本画を描いた画家です。この展示に来るまでは田中一村奄美の奥に一人住み、孤独なうちに絵画に奮闘していたのかと思っていたのですが、20年も千葉に住み、奄美に写ってからも地域の人と交流し、お礼に絵をプレゼントしたりと社会的に交流を保っていたことを知りました。
展示の構成は初期の田中米邨(たなかべいそん)という名前で活動していたころの南画(水墨画)から始まり、千葉寺付近に住んでいたころのその近辺の風景画、屏風絵、襖絵、天井図などへと移行していきます。
8Fの展示室では一村が住んでいたころの作品集、「千葉寺 杉並木」や「冬景色」など、千葉寺付近の景色が良いなと思いました。
7Fへ。彼はすでに少し先を鑑賞していて、戻ってくるなり
「これ、やばいよ」
と小さな声で言いました。
それを聞いた私は心の中で大いにうなずきました。
「そうでしょうとも!田中一村の絵は相当やばいのよ。」
中でも私が素晴らしいと感嘆したのは

  • 不喰芋と蘇鐡(クワズイモとソテツ)
  • 榕樹に虎みゝづく(カジュマルにトラミミズク*1

熱心に誠実に写生されたスケッチを見ても、田中一村が鳥や魚や植物の中に神聖を感じ、それを表現しよう、描き出してやろうとした様子がよくわかります。それが作品となってその画面から私たちに命の神々しさを感じさせるのでしょう。

田中一村 新たなる全貌」
千葉市美術館
9月26日(日)まで
田中一村 新たなる全貌|2010年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館

もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

*1:旧仮名:カジュマルにトラフズク