ギッター・コレクション展@千葉市美術館

The Gitter-Yelen Collection
今日までのギッター・コレクション展を見に千葉まで行ってきました。
"ギッター・イエレン夫妻の所蔵する日本美術コレクションの中から、江戸絵画を中心とする優品を選りすぐり、日本で初めて本格的にその全容を紹介する"という展示。夫妻の家の内部の写真も紹介されていましたが、実際にこれらのような美術品を飾り、生活の一部としているのをみると「豊かさ」を感じずにはいられませんでした。それは経済的に豊かではなくとも、自分のできる範囲で本当に気に入ったものに囲まれる暮らしの豊かさです。
展示については伊藤若冲長澤芦雪、曽我蕭白酒井抱一、鈴木其一等などと江戸時代代表的な画家たちばかり。

  • 曽我蕭白≪二老人図≫ 二人の老人が何かの文章を見ながら語り合っている様子。その表情がなんだかいい。微笑ましい。
  • 曽我蕭白寒山拾得図≫ 黒い墨で描かれているのが寒山、薄い墨で描かれているのが拾得と、蕭白は必ずかき分けているそう。それは拾得が実は寒山の影を著しているのではないかといわれているところから来ると想像される。
  • 長澤芦雪≪月に竹図≫、≪月に雲図≫ 月をその部分を描かずに浮き出すことで表現される幽玄さ。
  • 酒井抱一≪朝陽に四季草花図≫ 酒井抱一の描く植物の線を追っていると、何とも言えない落ち着いた気持ちよさを感じる。誠実でたおやかな表現。とはいえ、ぎちぎちに決めているのではなく余裕がある。抱一は自分の身の回りをきれいにし、整理整頓もきちんとしていたんじゃないかと想像してしまう。

与謝蕪村が案外多くの絵を、それもしっかりとした技術を身につけたうえで描いていることに驚きました。それは彼も同じだったようで、俳人とだけみなしていた蕪村があれだけのものを描いていたことに感嘆していました。それも今回の展示の収穫。
ちなみに彼が気に入っていたのはポスターにも使われていた伊藤若冲の「無染浄善 賛≪達磨図≫」。顔の半分ぐらいの大きさのでっぱったおでこにぎょろりとした丸い目、大きな花の大迫力が良かったようです。

帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展
千葉市美術館
1/23(日)まで
http://www.ccma-net.jp/index.html