20世紀フランス絵画の挑戦 アンフォルメルとは何か?@ブリヂストン美術館

20世紀フランス絵画の挑戦 アンフォルメルとは何か?
まず、アンフォルメルってなに?というところから私は始まりました。展示の紹介記事では、
20世紀前半に絵画の黄金時代を築いたパリでは、第二次大戦後に既成の概念や素材、価値観に縛られない新しい抽象的な絵画が生まれました。それらはやがて「アンフォルメル不定形)の芸術」
とあります。
最初、シュールレアリスムとどこが違うのだろうかと考えたのですが、先日観たシュールレアリスム*1よりも生々しさや辛辣さを感じず、気持ちが楽でした。どちらもフランスで、大戦後なのに、第一次世界大戦後と第二次世界大戦後では心理的な傷の深さが異なるのかしら。
気に入った作品はこちら。

  色彩がなく、灰色の世界なのに馬の周りにピエロや若い女性がいて、空気が和んでいるよう。

  子供たちが描かれているのだけど、かれらの爆発的なエネルギーを持っている感じが良く描かれていて面白い。まさに子供が集まると「暴動」がおきているようなんだろうなと思わせる。

  • ザオ・ウーキー「07.06.85」

  どこも同じ青はない高い波。白い飛沫。変わり続けるものを敢えて描くというのは難しいのではないかなと見ていた。変えているつもりでも、同じような色を繰り返してしまうのが人のような気もするから。ぼんやりとずっと眺めていたくなる絵でした。

  • ハンス・アルトゥング「T 1963 K7

  髪の毛のように細い線が複数流れていくように描かれていて、何か拭い去られるような感じ。

最後に感動的な経緯を持つ作品のご紹介。今回、いくつかの作品の出品が見合わされた中、ポンピドゥー・センター(フランス国立近代美術館)からのピエール・スーラージュ「絵画」が特別出品されました。
東京にいると素晴らしい美術品や芸術に触れることのできる機会が多く、いつかそのことが当たり前のようになっていました。でも、実はそれはとても幸運な環境なのでしょう。
今回の震災、原発事故により、諸事情で出品が見合わされたり、入国を見合わせた芸術家たちがいたことで、改めてそれまでの環境が有難いものだと感じ、一方で、敢えて日本に出品しようと理解し、尽力してくれた人々がいらしたことに少しだけ涙が出そうになりました。

アンフォルメルとは何か? 20世紀フランス絵画の挑戦
場所:ブリヂストン美術館
期間:7/6(水)まで。月曜日休館
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/

アート・ギャラリー現代世界の美術 (20) デュビュッフェ

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ザオ・ウーキー展

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