「夜中に犬に起こった奇妙な事件」マーク・ハッドン著

夜中に犬に起こった奇妙な事件 (ハリネズミの本箱)

夜中に犬に起こった奇妙な事件 (ハリネズミの本箱)

本の背表紙より
「犬を殺した犯人はぼくが見つける。
事件を通し、成長する自閉症の少年

数学や物理では天才なのに、他人とうまくつきあえない自閉症の少年クリストファー。ある夜、近所の飼い犬が殺された。彼は探偵となって犯人を探しながら、事細かに記録を取る。やがて驚くべき事実が明らかになり……」



クリストファーは15才。
父親と住んでいる。
近所の飼い犬の殺人事件を解決しようとした行動をきっかけとして、彼のそれまでの秩序と規則が崩れていく。崩れていくというより、自らの勇気で今までの世界から一歩足を踏み出す。私たちからしたら全くなんてことないことでも、彼にとってみれば、皮膚を越えて直接血や骨に触れられるほどのヒリヒリとした恐怖感。そんな彼の秩序立ち、裏表のないストレートな視線から世の中を見るとそこは複雑で情報過多で混乱した日常がある。この複雑さがときに人を不幸にするのではないか。

クリストファーはヒリヒリとした現実に向かい合い、恐怖に目をつぶりながら、体を縮ませながら、それでもそこを乗り越え、目標をしっかりと達成する。

最後の言葉はそれまで同様たんたんと綴られ、しかし力強く前を向いている。