「無為の力」


無為の力―マイナスがプラスに変わる考え方

無為の力―マイナスがプラスに変わる考え方

私の大好きな河合隼雄氏の対談。
対談相手は将棋士で40歳を超えて王位を奪取した谷川浩司氏。

河合隼雄氏の著書で次の谷川氏の言葉を紹介していたのを読んだことがあったのだが、これはこの対談から出た言葉だったのか。

棋士には上へ上へ行くほど「勝負師」の部分と「芸術家」の部分と「研究者」の部分がある。その三つの素質を三分の一ずつバランスよく持っている人が強いんじゃないかと思うんです。
(中略)
この「勝負師と芸術家と研究者」というのは、企業のリーダーなどにも求められる資質だと思います。

ほかにも心に留めたい一文それぞれ。

  • 自分が持っていきたい局面を漠然とイメージとして描けるか。
  • 嫉妬心があるところには可能性がある。嫉妬していることを認め、自分の可能性を伸ばす方へ変える。
  • 人生に折り合いをつける。「よき敗者」のみが次につなげられる。

なかでも河合氏の運命論に関する次の言葉に感嘆した。

ベートーベンの『運命』を書き換えるわけにはいかんけど、同じ『運命』でも誰が演奏するかで違う。
(中略)
どう演奏するかは各自に任されている。そういう風に思ったら面白く生きられるんじゃないかな。

今まで、私の『運命』はどんな情景を描いてきただろう?
そして、これからはどんなイメージを描きつつ、表現していくのか。
彼岸のあちらで自分でも見ごたえのある面白い『運命』だったと思うえるよう演奏していこう。