年画で迎えるお正月「ベトナム民間版画展」

明日で終わりの展示ですが、吉祥寺美術館の「ベトナム民間版画展」へ行ってきました。中国の文化色の濃い木版画の数々。刷られたのは1990年代以降ということで、とても色鮮やかでした。また、文字も漢字から現在のようなアルファベット表記まであり、中国やフランスに侵略されたベトナムの歴史がそんなところでもみられます。


吉祥寺美術館
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/

■ドンホー版画 Dong Ho
仏教伝播の地として栄えたハノイ近郊のドンホー村では、収穫後の農閑期になると、多くの農民が正月(テト)用の飾り絵として版画制作を行ってきた。それが農村派の年画「ドンホー版画」で、歴史故事、民話、風刺、時事など親しみやすい題材が多い。手漉きの紙に、地塗りを施した後、天然顔料で3〜4の色版を重ね、最後に墨版刷りをする多色木版。線が太く平面的だが、素朴な風合いが楽しめる。


■ハンチョン版画 Hang Trong
かつてハノイ市内のハンチョン通りで制作された都市派の年画を「ハンチョン版画」といい、題材も制作方法も中国の影響が色濃く、祭祀図や装飾的な花鳥図が多い。主に富裕層からの注文により制作され、多くの場合、墨版1版の上に手彩色が施される。ドンホー版画に比べ、線は繊細で、彩色が鮮やかで、より立体的、絵画的な趣向である。