オリガ・モリソヴナの反語法

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)

米原万里さんという人をあまりよく知らなかった。顔などは知っているので、たぶんTVなどには出演していたんだと思う。この人の小説(唯一?)である「オリガ・モリソヴナの反語法」を読んだ。
褒めながらけなすという反語法を用いる個性的ではあるが、魅力にもあふれる舞踊の教師、オリガ・モリソヴナと品格があるが、少し痴呆が進んでいると思われるフランス語教師エレオノーラ・ミハイロヴナ。元生徒の日本人女性が同級生との再会を果たしながら、二人の女性教師の謎を解き進めるうちに過酷なスターリン時代を生き抜いた悲しい歴史を知る。
かなり過酷で悲しい歴史を描いているものの、全体に明るい希望さえ感じるのにはオリガ・モリソヴナの反語法にも要因がある。その強かさ、生きる強さに導かれた光が。