清方ノスタルジア@サントリー美術館


清くあれ 潔くあれ うるはしくあれ … 鏑木清方(かぶらききよかた)

六本木サントリー美術館へ「清方ノスタルジア 名品でたどる鏑木清方の美の世界」を見てきました。
まず、入って早々の美術展ポスターにも使われている「春雪」に見入ってしまいました。女性の着物の色彩、柄、それと対照的な男性の濃黒の紋付羽織。そして、すーっと細やかな目にふっくらとしたサクランボ色の唇の若い女性。品格高い美しさ。人を突き放すような冷たさがあるわけでないのは、このうっすらとはかなく色彩が背景に溶け込んでいくからなのでしょうか。
次に私が良いなと思ったのは「朝涼」。青々とハスの葉で埋まった池の前を二つの三つあみにして、その一つを触りながら歩くラベンダー色の地の着物に淡いピンクの兵児帯を身につけている若い女性。縦に細長い画面に右足を少し曲げて歩いているので、緊迫感を逃してくれながら、見ている私の視線を彼女の歩く方向まで導いてくれているよう。

ふっと気づくと清方の女性の顔が知っている人に見えてくることがあります。そのうちの一人は私の双子の姉。この「朝涼」の女性が姉の顔に見えてきて、不思議でした。美女ばかり描いているのに。(こんなこと書くと、怒られるかな。)

スケッチよかったな。「紫陽花」とか。

少し私には清方さんは品格高く美し過ぎました。

清方/Kiyokata ノスタルジア―名品でたどる 鏑木清方の美の世界―
サントリー美術館
会期:2009年11月18日(水)〜2010年1月11日(月・祝)

近代日本画に大いなる足跡を残した巨匠、鏑木清方(1878〜1972)。彼の目は、明治から昭和という激動の時代にあって、なお人々の暮らしに残る、あるいは消えつつあるものを捉え、特に人物画において独自の画境を開いてきました。また、清方は伝統的な日本美術から多くのことを学んでおり、自身の画風にも色濃く反映されています。
本展は、近代に残る江戸情緒、そして自身が学んだ古きよき日本美術という、清方にとっての2つのノスタルジアに焦点をあて、清方芸術の魅力を探ろうとするものです。清方の代表的な名作はもちろん、初公開となる清方作品、清方旧蔵の肉筆浮世絵など、これまでの清方展では紹介されることのなかった作品も出品されます。本展を通じて、近代の日本画家という枠組みを越え、近世以前からの連続的な歴史の中で浮かび上がる、鏑木清方の美の世界をお楽しみください。