シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い@東京藝術大学大学美術館


シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展に行ってきました。
まず、ロシアのネオ・プリミティブスムの展示室では、ナターリヤ・ゴンチャローワの作品、中でも「葡萄を絞る足」に見入ってしまいました。くっきりと太い線で縁取られていたり、色彩も茶色、紫、オレンジの大地との結びつきを強く感じさせる作品。葡萄が縁まで入った樽で、葡萄を踏んでいる足は脛まで葡萄色に染まっています。
シャガールの作品は後半の歌劇「魔笛」の舞台美術の展示とシャガール独自の世界への展示が特に良かったです。「魔笛」舞台美術は幻想的で色彩豊か。シャガールの絵は色々な色が混じり合っているのに透明度が高いのが素晴らしい。実際の布や銀紙も絵に取りこんでいるそうで、スケッチの中でキラキラと光るところも良かったです。太陽や星やヤギや馬や蛇のような怪獣などワクワクしてくる、この夢がある舞台。実際にこの目で見てみたいと思いました。
最後の展示室はシャガール好きには堪らないでしょうね。最初の妻、ベラの死を迎えた後に描かれた「彼女を巡って」。シャガール自身と思われる男性の顔が上下さかさまに描かれているブルーの世界に愛する妻を失った悲しみが深く描かれていて、観ているこちらまで哀しくなってきます。そして振り返るとそこに掛っているのは「日曜日」。白い世界で再婚相手のヴァヴァと安定した球体として描かれていて、新たな幸せを手に入れたのだなと嬉しく思いました。

シャガール好きの彼はもっとシャガールの作品が観たかったようです。


http://www.fujitv.co.jp/events/chagall/index.html
東京藝術大学大学美術館
10/11まで
その後、福岡市美術館にて10/23〜2011/1/10開催

シャガール (タッシェン・ビッグアートシリーズ)

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ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書)

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