「日本画」の前衛 1938-1949@東京国立近代美術館(竹橋)

"社会的にも激動の時期である1930年代後半期、「日本画」の世界において、伝統的美意識による創造に決別し、新たな表現を目指す活動*1"に焦点を当てた展示会。

当時の、既成の古いものを破って新しいものを打ち出そうとする意志、意気込みが強くみられた。

  • 船田玉樹「花の夕」

 ポスターにもなっている紅白梅の屏風絵。ボトッと絵具を落としたようなまあるいフューシャピンクが鮮やか。

  • 山岡良文「矢叫び」

 江戸時代に描かれた扇絵の屏風とは異なり、灰色がかった青みの背景に矢が飛び交うような図柄、破れた扇がなにか切迫感があり、揺り動かされた。

  • 丸木位里・船田玉樹・岩橋英遠・谷口仙花 他「寄せ書き」

 1枚の色紙にそれぞれが絵を寄せているのだけど、全体にひとつの作品になっているところが面白かった。当時の交流している様子がわかり、ほほえましい。あのようにはなかなかできないと思うけど、こんな寄せ書きであればもらいたい。

今回の展示で、一番惹かれたのは丸木位里の作品。「竹」ラクダ」「柳暗」など。もっとじっくりと丸木位里の作品を見たい。
屏風の作品が多かったのは何か理由があるのかしら。屏風といえば伝統美術となるのだろうけど、そこを敢えて挑戦しているというところなのか?力強い圧倒的な作品が多く、見応えがあった。
続く屏風作品を見ているうちに、いくつか屏風のあちら側に呼ばれているような気さえして、日本の異界への入り口は屏風なのだと思った。英文学では古箪笥や古時計だけど。あの折りたたまれる様がなおさら人を押しやり、そして引き込むのではないか。

展示は13日まで。その後は広島(2/22(火)〜)、京都(9/3(金))と巡回予定。

日本画」の前衛 1938-1949
The Avant-Garde of "Nihonga"
東京国立近代美術館
2/13(日)まで
<巡回>
2011年2/22(火)〜3/27(日) 広島県立美術館
2010年9/3(金)〜10/17(日) 京都国立近代美術館(終了) 
http://www.momat.go.jp/

Amazon検索してみたところ、丸木位里は絵本も手がけていたということが判明。私、馴染んでいた可能性大いにある。

ふたりの画家―丸木位里・丸木俊の世界

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原爆の図―THE HIROSHIMA PANELS

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