青木繁展ーよみがえる神話と芸術@ブリヂストン美術館
鑑賞後、いろんな考えが湧きあがってきた展示会。
一番印象に残ったのは、「海の幸」。神話と海辺の世界が結び付いた最骨頂。海からの贈り物であるサメを3匹肩に担いで漁村に戻る猟師たちの姿は、過去から続いてきた自然との命のやり取りの結果として贈り物を得た姿。私としては「わだつみのいろのいろこの宮」に余り強い印象を持たなかった。それよりもこの画家にはもっと漁師や漁村やそのような暮らしの身近にある自然の中の神話を描いたら面白かったのではないかなと思った。
あと、「海の幸」を見ていて思い出したのは白土三平のカムイ伝の世界。彼の漫画の中でも漁村や農民と言う自然と強い結びつきを持った人たちを描いているし、それに神話に大変興味を持って漫画の題材にもしている。「女星」の作品にもカムイを思い出してしまった。知人のお嬢さんの旧初正月のお祝いに贈った絵。縦に長細い羽子板に切り取られた画面に母親と子供の上半身が描かれている。星空を背景にしているよう。カムイ伝に同じタイトルの短編がある。
- 幸彦像: 自分の子供の顔を斜め上から見た角度で描写。丁寧に描かれていて、赤ちゃんの顔が輝いているように感じる。いとおしさが伝わってくる。
- 朝日(絶筆): 全体的に茶色がかったトーンなのに、晩年の絵は明るくなっている。特にこの絶筆の作品は地平線近くに太陽が昇るのか沈むのか明るく描かれている。晩年は力強さや勢いがなくなっているようにもみえるが、この明るさは何なのだろう?28歳という若さでこの世を去る間際になぜこんな色彩を選んだのだろうか?
手紙などの書類も多く展示されていました。展示入口に展示されていた手紙では前半が雨に関する素晴らしい大文だと紹介されていましたが、私には読めませんでした。達筆が読めないのって、なんて不自由なんでしょう。その素晴らしさを味わいたかった。
特別展 没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術
9月4日(日)まで
ブリヂストン美術館
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/
- 作者: 阿部信雄,日本アートセンター
- 出版社/メーカー: 新潮社
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