出光美術館「水墨画の輝き ―雪舟・等伯から鉄斎まで―」

仕事帰りに待合せて出光美術館へ。


先日京都で長谷川等伯の龍図を見たばかりだったが、あの眼力と通じるものはあるものの、そのしぐさに愛嬌を感じる「竹虎図屏風」。虎といえば、龍という作品が多い中、こちらは雌雄を左右に付した珍しい構図の作品だそう。雄々しいトラではなく、雄と雌の照れたような、愛らしいトラがみもの。それに隣にあった「竹鶴図屏風」の濃淡がはっきりとし、縦を強調しつつたおやかさもある竹に見入る。私は水墨画でも特に愛嬌のあるような絵が好きなのです。仙がいは特にファン。今回出展されていたのは首輪が杭から繋がった縄に結わえられている子犬がきゃんきゃんと啼いている「狗子画賛」。今回は俵屋宗達の「龍虎図」が真ん丸な顔をした虎がまるで漫画のよう。いとおかし。ほかにも相阿弥作の「腹さすり布袋図」もまんまるに大きなおなかをさすっている布袋さんは見ているだけでも笑顔が出るようで、このような軸が茶室に飾ってあったらどんな席になるかなどと思いを巡らした。また、まったく違うタイプではほとんど見えなくなっている牧谿作の「平沙落雁図」には夕暮れになり雁が左の山脈へと帰っていく姿がうっすらと見れるところにそこはかとない情緒を感じた。


出光美術館は皇居側にソファが設けてあり、お茶が飲める。鑑賞後、そこでしばらく外の景色を眺めるのも楽しみの一つ。


2009/5/31まで出光美術館にて。