残酷さについて

レベッカ・ブラウンの「犬たち」を読み終える。「犬たち」は一人暮らしの女性のアパートに犬が一匹現れたところから、次々に増殖するその犬たちが彼女を奴隷のように貶め、抉り出すような「残酷さ」で彼女を傷つけていく。

幻想的に描かれているからこそこの残酷さが際立って表現されている。結末の収れんに少し救われつつ、すっきりしない気持で本を閉じた。


小説では「救い」を描くことができるけれど、現実にはどうなんだろう。原因もわからぬままに突如このような「犬たち」が現れ、追われ、貶められ、辱められ、痛められている人たちというのはあると思う。今、騒がれているニュースを見ていても、ある種の「残酷さ」に寒気がする。最後には「救い」がありますように。


ほかにトルーマン・カポーティの「誕生日の子供たち」も読了。

誕生日の子どもたち (文春文庫)

誕生日の子どもたち (文春文庫)